自閉症の児童生徒の会話訓練
- 家庭教師のMIC
- 2022年5月14日
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現在に至るまで、何人かの自閉症の児童生徒を受け持っています。
自閉症の児童生徒について保護者の方が心配していることの1つに、口頭での会話が苦手、ということがあります。場合によっては筆談でしか自分の考えを伝えられない、ということもあります。『僕が跳びはねる理由』でもそうした特徴は描かれています。
こうした児童生徒にとっては、口頭での言葉は自己表現の方法にはなりにくいです。接していて感じるのは、こうした児童生徒は思ったことを言葉にしようと思うと、もやもやした抽象的なイメージが頭の中に浮かぶものの、それを具体的な言葉としてはつかめないようだということです。
ですので、こうした児童生徒に「喋りなさい!」と言ったところで、思ったことを具体的な言葉に変換できないので、喋れるわけもないのです。
そのため、こうした自閉症の児童生徒の授業ではいくつかの工夫をしています。
まず、質問をした時に答えの選択肢をあらかじめ2~3個用意して示します。そうすると、案外口頭で答えてくれます。これを複数回繰り返すと、次第に考えていることを明確にできます。詳しくは「イチゼロ思考も多様性につながる」に書いております。
次に、ゆっくり喋ることです。コミュニケーションの速度を落とすことで、児童生徒が丁寧に考えて口頭で答えやすい環境づくりをしています。
最後に最も大切なのは、怒らずに児童生徒をしっかりと観察することです。往々に「答えない」のは無視していることと等閑視されますが、こうした児童生徒にとってはそれは「答えない」のではなく、「答えられない」のです。ですので、「答えられない」場合には、こちらが答えの選択肢を模索して提示します。
このようにしていると、次第に自閉症の児童生徒でも喋る言葉が増えてくることが多々ありました。
ただし、口頭で会話をしてくれるようになるまでは、大体1年くらいかかってくれます。どうしても時間だけは必要です。「待つ」ことも大切だということを、保護者の方には理解をお願いしたいです。

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