障害者との関わりを描くに止まらない、映画『37セカンズ』
- 家庭教師のMIC
- 2020年5月15日
- 読了時間: 2分
映画『37セカンズ』は、出生時に37秒間呼吸が止まっていたことにより、脳性麻痺となって車いす生活を送る主人公の女性をめぐり、自立とは何かを問う映画です。
冒頭から、「障害者と性」という、タブー視されがちな問題を直視していきます。「ふつう」に自立しなければならないと焦る主人公は、幾度もの困難に陥ります。しかし、そんな困難に直面したがために、新たに様々な人々に出会うことができます。そのおかげで、それまでの狭い世界から広い世界に足を踏み入れることで、主人公は自分の生い立ちを知ることもでき、「ふつう」にとらわれることなく、自立への第一歩を踏み出していきます。

本作が秀逸なのは、「自立」が問われているのは障害者である本人だけでなく、周りの人々もまた然り、なのです。「障害者だから…」と考えて、「抱きしめなければならない」と考えていた人たちが、実は抱きしめられていたりもするのです。
本編は、当初は「障害者と性」という「特殊」な問題を扱っているように見えて、実は誰もが直面する自立と自立の許容という、普遍的な問題の中に障害を取り込むことに成功していました。すなわち、「ふつう」の観念にとらわれて脅迫的に安心感を求めて生きるのではなく、様々な人々と関わることによって、「ふつう」でなくてもよい自分に
最後の20分間は、本当に涙が止まりませんでした。「成長」とは何か、「自立」とは何かを
考えさせてくれる傑作でした。
5月21日までチネラヴィータで上映しておりますので、ぜひご覧ください。
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