速さだけを競い、速さだけで評価されるべきではない
- 家庭教師のMIC
- 2023年8月11日
- 読了時間: 3分
学校教育では…というよりも、社会全般では、とにかく速さが競われ、速さが優れているものが賞賛されます。
速く問題を解けること、速く仕事ができること、速く速く…ととにかく社会は人々を急き立てます。
そればかりか、「速く」だけでなく「早く」も求められます。
早く成長して欲しい。学習を早く先取りして欲しい。早く進学して欲しい。早く就職して欲しい。早く早く…
ところが、この「速い」や「早い」の価値観での競争は、人々を大きな危険にさらします。
それはChat GPTに代表されるAIロボットの進化によってです。
速さと正確さで競争すると、人間は絶対にAIロボットに適いません。だからこそ世界各国でAIロボットの開発が進んでいるのです。
「AIだって間違える」から人間の方がよい、という反論もあります。しかし、人間の方がAIよりも間違える確率は高いです(ただ、AIは判断ミスしても、判断ミスしたという判断をしませんが)。
実は、そんなAIロボットよって、少なくともお金に関しては人間はすでに支配されています。
現在の実体経済と金融経済の比率は、大体2:8です。その8割を占める金融経済~為替取引やら株取引やらは、大手金融機関が保有するAIロボット同士の戦場と化しています。ロボットの判断で、円安が急激に進行している!とか、株が大暴落した!とか、人々は踊らされています。
そんな金融取引の場では、人間は速度と正確さでは絶対に勝てません。なにせ、人間が画面で相場を確認している間に、ロボットはすでに判断と取り引きを終えていますから。
そんな時代ですから、デスクワークで速さを競うような仕事は、やがてAIに置き換えられていくでしょう。
では、人間はもはや不要になっていくのでしょうか。
そうではありません。AIは、短期的な予測はできても、10年単位のような長期的な予測は苦手です。なぜならそこまでのデータは現在のところは無いからです。そもそもそこで「データ」と見なされるものは、人間が設定したものなので、人間が設定できないものや、数値化できない感情などは、「データ」に組み込まれません。
AIが活躍する時代において大切になってくる人間の能力は、短期的に成果を出すというものではなく、長期的な視点に立って社会や人生を見つめる力です。
人生100年の時代と言われます。そんな時代に高校受験の15歳で人生が決まる、という考え方が続くのであれば、社会の持続可能性は失われて行くでしょう。
無論、速さや早さというものも大切です。しかし、ゆっくりじっくりと長期的に考える力を、決して疎かにしてはいけません。早く速くでは、AIロボットに踊らされる人生を送ることになりかねません。
太極拳やヨガをやってみると分かりますが、ゆっくりとした動作というのが、実は非常に難しく、さらにヒトの健康状態を良好に保つのに役立ちます。生物としてのヒトには、どうもそういうゆっくりとした時間が必要であって、その時間があることによって、自分を保つことができるようです。
ですので、ゆっくりじっくり長く考えることも大切にし、そうした時間を設けてもらいたいです。

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