児童生徒の読解力が劣る原因
- 家庭教師のMIC
- 2020年11月2日
- 読了時間: 3分
往々にして、読解力がないのは、読書習慣がないからだ、と「努力」の問題にされてしまいます。
しかし、私がこれまでに受け持った生徒の中で、読解力が劣っているのは、脳機能が原因の場合がかなり多かったです。
※ここでは、読解力を単純に文章を音読して理解できる力、とし、解釈の段階までは考えません。
①多動性障害の傾向
多動性障害の傾向を持つ児童生徒は、興味関心がない物事に対して集中力を維持することが難しいです。
そのため、文章を読んでいても、読んでいる部分に集中することが困難で、周りのことが気になってしまいます。
たとえ文章だけに集中できたとしても、頭の中では様々な物事が不断に思い浮かび、文章の内容が頭に入りません。
②学習障害の傾向
学習障害の傾向を持つ児童生徒は、文字を認識したり、文字を単語のまとまりに分けたりすることが苦手です。
日本語の文章の場合には、「ひらがな」「カタカナ」という表音文字を読むことはできても、「漢字」という表意文字の読み方を覚えることが難しい場合が多いようです。日本語の読解には、表音文字の理解と表意文字の理解という2つの理解力が求められるため、脳機能をフルに使わなければならないからです。
英語の場合も難解です。アルファベットは表音文字でありながらも、英単語はつづりと音が一致していないからです。
"yes"は音が「イエス」で意味は「はい」なのに、頭に"e"をつけると、"eyes"は音が「アイズ」で意味は「両眼」になってしまいます。
つまり、英単語を覚える際には、論理的なつながりがない「つづり」「音」「意味」をパックにして覚えなければなりません。ここが英語を読解する際に難解になるところです。
これは、英語圏での識字率が低い一因です。
③空間認識能力が劣っている場合
空間認識能力が劣っている場合、ひらがなやカタカナだけの文章を読むことはできても、漢字の認識が困難になるようです。
また、図形の把握も困難になるので、挿絵の意味を理解しづらいことも多いようです。
①~③も全て程度が違うので、読解力を上げるためには、しっかりコミュニケーションをとりつつそれぞれの児童生徒を観察し、どのような対応が必要なのかを模索することが大切です。
つまり、こうした原因で読解力が劣っている児童生徒に対しては、「努力」を要求するよりも「工夫」をすることが大切になってきます。
最近では、②の児童生徒は、パソコンやタブレットを使うと容易に漢字が書けるようになるということが、広く認知されつつあります(でも、最近の児童生徒はスマホでは音声入力してしまっていますね…)。
また、読解力が劣っていても、音から言葉を認識する能力に問題が無い場合には、テレビやラジオのニュースに沢山触れておくと、読んだり書いたりできなくとも、多くの言葉を覚えることができます。
注意しておきたいのは、ネットのニュースばかり観ていると、特定の話題の言葉しか覚えられなくなることです。なぜなら、自分の興味関心のあるニュースしか見ないからです。
やはり、ニュースは自信が興味関心の無い事柄も報じる、テレビやラジオ、新聞で得ておくことが望ましいです。

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