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発達障害が増えるわけ⑤:生物としてのヒト

  • 執筆者の写真: 家庭教師のMIC
    家庭教師のMIC
  • 6月5日
  • 読了時間: 4分

そもそもなぜ発達障害は生じるのでしょうか。

結論から言えば、それは人間もまたヒトという生物だからでしょう。




発達障害に限らず、一般的な先天的な障害について考えてみます。


ヒトは猿から進化したと言われています。


猿には尻尾がありました。しかし、ヒトは「進化」の過程で尻尾を失いました。つまり、尻尾を失うことがヒトへの「進化」の1つの要素だということです。


では、猿の赤ちゃんに尻尾が生えていなかったら、私たちはそれを「進化」と呼ぶでしょうか。


むしろ「障害」と呼ぶのではないでしょうか。


他方で、ヒトに尻尾が生えてしまったら、私たちはそれを「進化」と呼ぶでしょうか。


むしろ「障害」と呼ぶか、あるいは「サイヤ人」と恐れる(?)のではないでしょうか。




生物の遺伝には突然変異があります。親の遺伝子が必ずしも子どもにそのまま伝わるとは限りません。それは、ヒトという生物が新たな環境への順応が可能な種を残すことを目指しているからなのでしょう。


その突然変異を「障害」と「進化」のどちらに見なすかは、突然変異の種が適応できる環境を見つけられるかどうか、あるいは適応できる新たな環境が発生するかどうか、によります。




地球上の生物は元々深海で生まれました。やがて大気が生まれることにより陸上での生活が可能になり、陸上で生活できる肺呼吸をする生物が登場しました。


そんな陸上で生活できる生物が生まれたのも、生物が突然変異を繰り返して、陸上という新たな環境に適応できる種が生まれたからです。


そうやって突然変異による「障害」と「進化」の葛藤をしながら、生存空間を広げてきたのが、地球上の生物の歴史ではないでしょうか。




ここで、クジラやイルカについて考えてみます。


クジラやイルカは哺乳類で肺呼吸をするくせに海で暮らしています。


よく考えてみると不思議なことです。クジラやイルカのご先祖さまは水中での環境を捨てて陸上に生存空間を求めたにもかかわらず、また水中に生存空間を戻しています。陸上で生活していたのに、また水中での生活に適応するような「進化」をしてしまったわけです。


では、肺呼吸なのに最初に海に飛び込んで生活しようとしたのは一体どんなヤツだったのでしょうか。


恐らくは群れの中では突拍子もない行動をする「へんちくりん」と思われていたヤツでしょう。現代風に言えば、何らかの発達障害があったヤツです。


でもそのヤツのおかげでクジラやイルカは現代に至るまで繁栄できています。


恐らくは生物史を振り返ってみても、発達障害の特性を持つ個種が、現在の生物の多様性と繁栄を築いてきたはずです。




ヒトの話に戻りましょう。


ヒトも他の生物と同様に、常に異なる「自然環境」に適応すべく、「障害」と「進化」の葛藤を突然変異という形で繰り返しています。人類史を長い目で見れば、その葛藤のおかげで現在の人類の繁栄があると言えるはずです。


ところが人類が他の生物種と異なるのは、人類は自らの生存空間を広げるために、自然環境を自らの手で変えてしまったことです。そのために、人類が順応すべき環境は、自然環境よりも人間の作り上げた社会環境に変化してしまいました。


つまり、生物としてのヒトは様々な自然環境に適応すべく、「障害」と「進化」の葛藤を続けて突然変異を生み続けているにもかかわらず、現代でヒトが求められるのは社会環境という人工物への順応です。


そのため、自然界の生物としてのヒトは様々な自然環境に適応すべく「へんちくりん」を生み出し続けても、その「へんちくりん」は画一的な人工物の社会環境への順応を求められます。


そこに発達障害の人々の生きづらさの一因があるとは考えられないでしょうか。元々様々な自然環境において人類の生存空間を広げる可能性を持つ存在として生まれたのに、人工物の社会的秩序を守り、これに順応することを要求されているからです。




ただし忘れてならないのは、社会環境は人工物であるからこそ自然環境よりも速く変化していることです。さらに、人工物であるからこそ、私たち一人一人がその社会環境を変える機会を持っていることです。




人類史や生物史を振り返ると、発達障害に限らずに先天的障害は生物としてのヒトが進化を模索しているからこそ生まれるのだと思い当たります。


そうであれば、私たちがこうした「へんちくりん」と見なされて生きづらさを抱えた人々が適応できるように社会を少しずつ変えていくことが、なによりも私たち人類の利益にやがては繋がっていくのではないでしょうか。


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