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地理の教科内容は大きく変わり、歴史になる

  • 執筆者の写真: 家庭教師のMIC
    家庭教師のMIC
  • 2022年5月29日
  • 読了時間: 4分

2020年からのコロナ禍で、社会生活も経済のあり方も大きく変わりました。


日本の産業構造や、輸出入品目は相当に変わっています。


さらに米中対立の深刻化や2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻で、それまでの各国の経済的なつながりが弱まる部分も現れ、世界的な経済の「陣営化」とでもいうべき状況が起きています。


次の地理の教科書は、一体どのようになっているのでしょうか。


もしかすると、今の状況は「例外的」として扱われる、という予測が多いかもしれません。

しかし、この状況は、コロナ禍やウクライナ侵攻が収束しても変わらないでしょう。


というのも、こうした立て続けに起きた、世界を揺るがしている大事件というのは、それまでの歴史の流れの必然的な帰結だからです。


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第一に、グローバリゼーションの深化があります。


コロナ禍以前までは「インバウンド」がもてはやされていたように、グローバリゼーション(モノ、ヒト、情報の国境を越えた移動)を諸手を挙げて歓迎する傾向が強かったです。しかし、コロナウイルスの感染拡大はそれに水を差しました。


実は、グローバリゼーションの深化に伴う土着の感染症拡大の危険性は、以前から指摘されていました。2003年のSARSがその予兆でした。


今回のコロナ禍もやがては収束するでしょう。しかし、今後もコロナ禍のような事態が起こるリスクは、世界全体が忘れないでしょう。


ですので、今後はコロナ禍と同様な事態が生じても、社会経済に大きな損失をもたらさないような社会秩序の形成が目指されるはずです。


ですので、コロナ禍で起きた社会や経済の変化は、今後も残っていく部分が多いでしょう。




第二に、インターネット社会の普遍化とAIへの依存度の高まりがあります。


「ネットの影響なんて…」という意見とは裏腹に、インターネットの影響は確実に広がっています。ユーチューバーが小学生のなりたい職業の中に数えられるようになったことが、その証左でしょう。


ただし、このネットの使い方が国や社会によって異なります。インターネットは、個々人の自由な表現を可能にした一方で、権力による個々人の監視も容易にしたからです。とりわけAIの発展は、むしろ個々人の情報をかき集めて、知らず知らずに権力の側に都合の良い選択を個々人に迫るようになっています。


特にコロナ禍は、政府による個々人の監視能力を強化しました。個々人がワクチンを打ったか、コロナウイルスに感染したか、だけでなく、政府の規制方針に従っているかどうか、も全て政府が情報を把握しています。一方で、こうした傾向に危険性を感じて、市民の政府への監視を強めるとともに政府の情報公開を進め、市民に開かれた政府を作って、個々人の自由の空間を確保しようとする動きを見せる国もあります。


つまり、インターネットやAIは、個々人の自由な選択の幅を広めもするし、狭めもします。米中対立の背景にはこうした情報合戦があります。アメリカでは、米中対立以前から、いわゆるGAFAがネット上の個々人の情報にどれだけ介入してよいのか、が紛糾を呼んでいたことを忘れてはいけません。




第三に、温暖化問題に代表されるように、地球環境問題があります。


温暖化問題は待った無しの喫緊に解決すべき問題です。しかし、『ドント・ルック・アップ』が見事に描いていたように、「ごにょごにょ」によって、なんだかんだと問題解決は先延ばしにされています。


それどころか、短期的な利益を優先する人々は、むしろ温暖化を促進するような行動をとります。ロシアのウクライナ侵攻がまさにそうでした。世界大で長期的に対処すべき問題は多いにも関わらず、なんだかんだと、短期的な利益や自身の虚栄心を優先する人は、少なくないです。


でも、温暖化はやはり待った無しの問題です。コロナ禍やウクライナ侵攻で忘れられていても(ウクライナ侵攻によって温暖化問題は深刻化しているのですが…)、そんな人間の業とは無関係に、温暖化の深刻な影響がどんどん押し寄せてくるでしょう。


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ということで、世界の価値観は大きく分断されており、その中で個々人が各々の利益を追求している状況です。2020年代は、そんな価値観と利益をめぐって混沌とした時代に入るのではないでしょうか。


とりわけ、2000年代以降に生まれ、自身の金銭的利益よりも多面的な価値観を求めるZ世代と、就職氷河期に「蜘蛛の糸」に縋りつこうとしてきた世代、さらにその前の「努力すれば報われる」ことを信じている高度経済成長期の恩恵を受けた世代との価値観のズレは深刻です。




そんな価値観のズレや、昨今のコロナ禍やらウクライナ侵攻やらで、現在私たちは歴史の転換点に立っています。これは私が勝手に言っているわけではなく、多くの識者がつとに指摘してきたことです。


当然ながら、数年後に地理の教科書は大幅に改変されるでしょう。そしてやがてこの地理の教科書が書き換えられるような出来事があったと、現在起きていることは歴史の教科書に残されるでしょう。


「歴史」は過去です。しかし、「今」はすぐに「過去」になります。つまりどれだけ若い人でも、「歴史の証人」になるわけです。


ですから児童生徒には、「今何が起きているか」を毎日ニュースで見てもらいたいのです。少しだけでも良いので。それこそが社会の勉強の基礎です。


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