不登校児童・生徒への対応について
- 家庭教師のMIC
- 3月21日
- 読了時間: 4分
更新日:3月27日
これまで複数の不登校児童・生徒の担当をしてきました。不登校状態が収まった児童・生徒もいれば、不登校状態が続いている児童・生徒もいます。
複数の不登校児童・生徒の担当をして分かってきたのは、不登校になる原因は様々である、ということです。昔はいじめと起立性障害が不登校の原因だと勝手に決めつけていましたが、非常に反省しております。
もちろん学校の環境に適応できないから不登校になるのですが、その適応できない原因は、本人の特質や家庭環境等々により様々に異なります。
ただ、前提として忘れてはならないのは、不登校は「学校に通わない」という「意思」の問題ではなくて、「学校に通えない」という「状態」の問題だということです。
ですから、その「状態」に注目した時に、私のすべき対応は次の順次だと考えています。
①命を守る
不登校になるのは、登校すると心身の状態が悪化するからです。ですから、まずは本人の命を守ることを最優先にします。学習は、あくまでも命を守るためのコミュニケーションツールです。
②引きこもりを防ぐ
ご家庭と話していて感じるのは、医師の「大丈夫」とご家庭の「大丈夫」がズレていることです。どうも医師は、引きこもりになってさえいなければ不登校でも「大丈夫」と判断していると感じます。
「学習はどうするんだ」という保護者の焦りの気持ちは分かります。しかし、医師が引きこもりを心配しているのには、それだけの深刻な理由があります。
ですから、この段階でも私の果たすべき役割は、学習というコミュニケーションツールを通して、児童生徒の引きこもりを防ぐ、ということだと考えています。成績は二の次です。
③社会性を失わない
命の危険性がなく、かつ引きこもりの可能性が無くなれば、次に私が果たすべき役割は、不登校の児童・生徒が家族以外の人々との接触をなるべく保ち、社会性を身に着けることだと考えています。
ここでも学習は、あくまでもコミュニケーションツールです。ただしこの段階では、私と児童・生徒との間だけでなく、児童・生徒と学校との接触のためのコミュニケーションツールになってきます。
必要であれば何らかの方法で私の意向を学校に伝えますが、学校でやらなければならないことを、できないなりにこなしていることを学校に見てもらうことで、児童・生徒と学校という社会とのつながりをつないでおきます。
この段階でも、学業成績は問うべきではないと考えています。まずは成績を度外視して、社会とのつながりを保つべきでしょう。
④なぜ学校に通えないのかを言葉にしてもらう
①~③状態が保てたたらば、次に必要なのは、学校に通うのに障害になっていることを自分自身で認識してもらうことです。
というのも、これまで接してきた中で、自分が学校に通えない原因が分かっていない児童・生徒が少なくなく、保護者の方も不登校の原因が分からない場合が多かったからです。
私の役割の1つは、学習を通してコミュニケーションを図る中で、児童・生徒本人に不登校の原因を曖昧であっても少しずつ言葉にしてもらうことで、何が不登校の原因なのかを自覚してもらうことだと思っています。
そうして通学への障害になっていることを次第に明確にすることで、その障害への対応策を考えることも可能になってきます。
ただし、学校という「場所」自体を本人が絶対的に受け入れられない場合もあります。その際には、進路を通信制の学校等の普通校以外に考えた方が良いこともあります。
こういう段階を時には長い時間を経ることで、ようやく不登校の状況は脱することができるようです。焦りは禁物です。
学習自体に対しては興味関心が向く児童・生徒の場合を除いて、不登校の児童・生徒に無理に学習とその成果を押し付けるべきではない、と私は考えています(反対に、学校という「場所」を受け入れられず、かつ学習自体は受け入れられる児童・生徒には、しっかりと学習を教えます)。
まずは、命を守る、引きこもりを防ぐ、社会との接点を保つ。その上で、不登校の原因が何なのかを認識してもらい、その解決に向けて一歩一歩動く。学習はそのための手段です。

そのために助力するのが、私の役割だと考えております。
コメント