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ビットコインが高騰した訳を、中学校の「社会」から考える

  • 執筆者の写真: 家庭教師のMIC
    家庭教師のMIC
  • 2021年1月7日
  • 読了時間: 5分

テレビのニュースを見ていると、株価の高騰ばかりが取り上げられています。しかし、昨年それ以上に高騰したのは、仮想通貨のビットコインです。1BTC(ビットコイン)は2020年3月に40万円台だったものが、2021年1月初頭には360万円台と実に7倍にも値上がりしました。



ところで、仮想通貨とは何なのでしょうか。それを説明するために、まず貨幣について考えてみたいと思います。


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一般の貨幣、すなわち各国発行の中央銀行券(要するにお金)は、中央銀行が信用の保証をしていまます。 1万円札を1枚刷るのに、約20円しかかかりません。しかし、誰しもが1万円札を「1万円」と思っています。一方、1円玉の製造代金は、約3円です。しかし、1円玉を1万枚持っていても、誰も「3万円」とは思いません。 その理由は、中央銀行が「1万円札の価値は1万円ですよ」「1円玉の価値は1円ですよ」と保証しており、その保証を誰もが無意識に信じているからです。


その保証の担保として、昔は金本位制銀本位制が採用されていました。つまり、1円は金いくら、銀いくらと交換できますよ、と決められていたわけです。ですので、中央銀行がお金を発行しすぎると、1円で交換できる金の量は減りますので、容易にお金の価値が下落し、インフレーションが起き、物価が上がりました。

現在の日本では、管理通貨制度が採用されていて、お金の発行額に上限が定められていません。あくまでも、中央銀行がお金の価値を保証してくれるから、ある貨幣にその額の価値があると考えられているだけです。



それに対して仮想通貨には、中央銀行の保証がありません。仮想通貨の価値を保証しているのは、インターネット上のブロックチェーン技術です。ブロックチェーン技術とは、簡単に言えば、世界中のネット技術者がネット上に情報を書き込み、同時に監視する仕組みのことです。



つまり、中央銀行券が中央銀行という単一の組織による価値の保証によって成り立っているのに対して、仮想通貨は世界中のインターネット技術者の監視によって価値の保証がなされています。



ではなぜこの仮想通貨のうちの一種類であるビットコインが7か月で価値を7倍も上げたのでしょうか。


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昨年の2月から3月にかけては、コロナウイルスが世界的に蔓延したことによって、現金の需要が高まったため、ビットコインを売って現金に換える動きが強まりました。その結果、ビットコインは暴落し、1BTCは110万円台から40万円台にまで下がりました。



ところが昨年4月以降は各国がウイルス禍による景気の悪化への対策で財政支出を大幅に増やし、大量の資金を市場に供給しました。日本でも、10万円の給付金が支払われたのは記憶に新しいところです。



ところがこの財政支出の大幅な増大には落とし穴があります。各国の景気は悪化しているので、税収は減り、歳入も減る見込みだからです。



その歳入と歳出の格差の穴埋めに使われるのが、国債の発行です。国債は、単純に言えば国の借金です。



この景気と国の財政状況の悪化の中で、国債を買っているのは誰でしょうか。それは、各国の中央銀行です。日本の場合では、日本銀行がすでに発行額の4割以上の国債を買い上げています。



国がどんどん増やす借金を中央銀行が買い上げている現状は、子供が親名義のクレジットカードで浪費しているようなものです。そうなると、子供だけでなく、親の信用も無くなっていくので、この親子にはあまり物を売りたくなくなります。



そんなわけで、現在は世界中で各国の中央銀行券への信用が揺らいでいる状況なわけです。



そうなると、超富裕層(機関投資家など)は、各国の貨幣よりも、別のモノを持って資産を保持しようと考えます。これがインフレーションの原因になります。



ところが、政府に集中した権力と社会一般の信用が残っている国は、市場に一般に供給されている消費物の値上がりを抑制できます。代表的なのがマスクです。昨年の前半は明らかに供給過小、需要過多であったのに、店舗で売っているマスクの値段は上がりませんでした(そのために転売屋が横行したわけです)。



そこで超富裕層が金や不動産、株に目を着けるのは、これまで歴史が繰り返してきたことです。



ところが金には保管料がかかりますし、不動産やにもリスクがあります。それに比べると、保管料がかからず、メンテナンスが必要なく倒産の心配がない仮想通貨は魅力的な投資先になります。



とりわけ仮想通貨の先駆けとなったビットコインは、流出の失敗の経験が多いだけに、セキュリティの安全性も高いと考えられます。



さらに、各国の通貨が管理通貨制度の下で発行無制限になっているのに対し、ビットコインは発行額に上限が設けられています。



また、政情不安定で通貨の価値が安定しない国では、仮想通貨の方が信用があります。さらに、難民などの流浪せざるを得ない人々にとってみれば、スマホを持っていさえすればどこにいても使えるビットコインには大きな需要があります。



そうした理由に基づき、超富裕層(機関投資家など)が資金をビットコインに移したために、ビットコインは急騰したと考えられています。



この文章を書いた理由は、仮想通貨への投資を勧めるためではありません。そうではなくて、中学校で習う「社会」の知識程度で、世界の事象を考察し、説明することができることを示そうと試みました。



赤字で示した部分は、中学校の「社会」で習う言葉です。



学校で習う教科というものは、決して受験だけのためにあるのではありません。その後の人生で社会を見つめるのに役立つのだ、ということを示すために、本文章を書いてみました。


 
 
 

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