「なぜ?」「どうして?」に応えたい
- 家庭教師のMIC
- 2020年8月25日
- 読了時間: 3分
よく「なぜ?」「どうして?」という大人を困らせるような質問をする児童生徒さんがいます。私は、この「なぜ?」「どうして?」という質問を大切にしたいと思っています。
なぜなら、「なぜ?」「どうして?」という質問は、知的好奇心の現れだからです。ですので、その知的好奇心を満足させてあげれば、学ぶことの面白さを知ってもらえることを期待できるのではないか、と考えています。
最近、「重力はなぜはたらくのか」、という質問を受けました。考えたら不思議です。地球に手が生えているわけでもないのに、物質に重量があれば地球に引っ張られるというのですから。
実はこの疑問は、アインシュタインの相対性理論につながっているそうで、さらには現在の量子力学の大家たちが頭を悩ませ続けている問題なのです(今では宇宙は「ひも」でつながっているという理論にまでなるそうです)。つまり、そうした偉大といわれる科学者たちは、一見幼稚な「なぜ?」「どうして?」を追究してきた人たちなのです。
児童生徒さんはは、「こう考えるのが当然だ」という先入観が少ないので、物事の核心を突くような疑問を持っています。大人から見れば一見幼稚な「なぜ?」「どうして?」は、実は科学の基礎であり、発展の原動力です。
ですが親御さんにとっては、「なぜ?」「どうして?」は極めて困りものです。仕事をして、家事をして、お子さんの面倒を見て、やっとプライベートな時間が取れたと思っている時に、「宇宙が始まる前には何があったの?」などと聞かれたら、「そんなことを言う前に、さっさとご飯食べてお風呂入って宿題終わらせて寝ちゃいなさい!」とキレてもおかしくはないです。
なので、親御さんがお子さんの「なぜ?」「どうして?」に全て対応する必要はありません。教育に関わる仕事に従事する人たちは、その「なぜ?」「どうして?」に向き合うのが商売ですから、こちらに投げてしまって構いません。
ただし、児童生徒さんの質問に全て正しい答えを用意するなどということは不可能です。「宇宙が始まる前に何があったの?」という150億年前のことに関する質問には、まだ100年生きられるかどうかも分からない人間に正答を用意することは不可能です。
そもそも科学者が存在しているのは、人が知っていることなどはこの世界のほんの一部であって、分からないことの方がずっと多いからです。さらに、知らないことが沢山あるからこそ学ぶことには楽しみが潜んでいるのであって、もしこの世の全てが知り尽くされていたら、人はロボットになってしまうでしょう。
ですので、私は児童生徒さんの疑問をないがしろにせずに、疑問を一緒に考えて、その考えることを楽しんでもらうように努めています。質問に「答える」ことはできなくとも、「応える」ことを大切にしたいです。

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